再発の行方(39)

がん友、東病院に来る (文:金田 信一郎)

不思議なことはあるものだ。

4年間から交流があった大阪の美容師Tさんが、私が通院している国立がん研究センター東病院に転院していることが分かった。

これまで、大阪在住のTさんは、食道がんの治療のため、鹿児島の病院に通っていた。治療のたびに、奥様のOさんと新幹線に乗って小旅行をしていた。

今度は、大阪から千葉への通院である。

まるで想像していなかったことだ。

 

話は4年前にさかのぼる。

食道ガンと咽頭ガンにかかったTさんは、奥様のOさんと一緒に私の三鷹のオフィスを訪ねてきた。

彼は、「手術と抗がん剤はやりたくない」という強い意志を持っていた。そして、全国の病院を検討した結果、鹿児島の放射線医を気に入って、そこに通い続けてきた。

私は大阪で取材があると、夫妻と会うようにしてきた。およそ1年に1度、会っている。

 

3カ月前、奥様からメールが届いた。

 

 

こんにちは。金田さん、体調どうですか?

秋野暢子さんのブログで、たまに金田さんと食事をしている写真を拝見しており、体調は大丈夫かな?と心配していました。

 

で、Tの身に、起きて欲しくない事が起こりました。半年前に消えたと思っていた癌が顔を出していました。また、食道とは関係なく、新たに直腸がんが発覚しました。

内視鏡で切除が可能かどうか、病院で検査する必要があります。

鹿児島の先生は「オペになっても、位置的にストマ(人工肛門)にはならないだろう」とおっしゃってます。

Tは当然、奈落の底です。

「金田さんに食道癌オペが上手い医師を聞いて」と言っています。

でも、Tは、他の病院で治療した患者で、かつ、抗がん剤治療を望まない。

引き受けてくれる病院を見つけることが難しい状況です。

鹿児島の放射線医、内視鏡医ともに、「直腸がんオペは心配は要らない」と言われています。

「オペは受けない」と言ってきたTも、(手術に)望みをかけたいと言っています。

今は何も言えないです。

本当に元気になっていたんですけど…。

 

金田さんの体調が良く、お時間が許す時、お返事頂けると幸いです。

 

 

読み終えて、しばらく画面を見つめたままだった。

なかなか難しい状況である。

もちろん、治療は可能だと思う。だが、私が医師や病院について具体的なことを言えば、Tさんの人生を大きく変えてしまう。

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